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Category: 貧乏市長物語

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【TRINSIC OF THE DEAD 2】 ~I'm in the Darkness~ 3

❖トリンシック・トリビューン 2014年10月28日
 【聖騎士見習い200名、ダスタードで演習へ】
  詳細な日時は発表されていないが、今月末、ダスタードにて聖騎士見習いの大規模演習が行われる。
  現在500余名いる聖騎士見習いの中から、特に成績優秀な者が選抜されるとのこと。
  引率は武術指南役として名高いケイン教官。
  個人の武威はもちろん、数隊に分けての作戦遂行能力、団結しての集団戦闘能力などを測る。
  今回の演習は、聖騎士見習いの壁外演習としては過去最大の規模。
  巷では聖騎士昇格への最後の試験ではないかと囁かれており、続報に期待が寄せられている。

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 肉はいつ頃からか見つからなくなった。
 空腹で、空腹で、俺は空っぽなまま、もう動けなくなってずっと経つ、何日か、何ヶ月か、あるいは何年かすら、わからない。
 目に入るのは闇、闇、真っ暗で、自分の手さえわからない、ただ耳に入る音だけが、誰かの生きている、時に笑い、時に怒鳴りあう、羨ましい、妬ましい、人生の音だけが、こうして這いつくばる俺を、俺の惨めな存在を、打ちのめすように何度も何度も、思い知らせる、思い出させる。
 輝くものを見たのは、もうどのくらいぶりだろう。
 それは遠くから、ゆっくりとやってきた。
「これは驚いた」
 温かいオレンジの光、火、あれはなんだっけ、そう、蝋燭、と、それを持つ人間。
 人間だ。
「こんなところでまさかの拾い物とは。しかも……腐敗が殆ど進んでいない」
 近づく炎をじっと見ていると、目が焼けるように傷んだ。
 俺が呻いて目を瞑った時、蝋燭の持ち主はものすごい勢いで駆け寄ってきた。
「あぁ!! まさか君は、そうか、そうなんだな、ついに【適応したのか】!!」
 引きずりあげるように抱き上げ、抱きしめられる、人間、肉、肉肉肉、なのにおかしい、全然美味そうじゃない、どうしてだ?
「可哀想に、さぁもう大丈夫だ。口を開けてこれを飲みたまえ、今よりずっとマシになるはずだ」
 顎を上げて何かが流し込まれる、味のしない、だが火のように燃える、喉に、腹に、脳に火が回って、頭に巣食ったヘドロが削ぎ取られるような、脳が脳が脳が、溶けて、


「名前は思い出せたかい」
「わからない」
「体に不自由なところはあるかね」
「別にない」
 そいつは、実に献身的に俺を労った。
 光があるだけで世界は様変わりする、俺がずっと過ごしてきた闇は、見なければ良かったと思うくらい劣悪な場所だった。
 汚水とヘドロとカビとサビ、虫、ゴミ、腐った何か。
 気がつけばそこに様々なものが持ち込まれて、俺は以前より少しだけマシな境遇にいる。
「あんたは誰なんだ」
 黒いローブで体を覆う男に問いかける、近頃ようやく声らしい声が戻ってきた。
 一日に数回、俺に水のような何かを飲ませる以外、男は怪しげな器具と薬品を弄り、錬金術めいた何かを繰り返している。
「私はね、残響なのだよ」
 振り返らず、手を止めず、男は答えた。
「あの日死んだ仲間たちの声が私を作っている。無念と怨嗟を繰り返し繰り返し歌い続ける彼らを、安らかに送るために───その為に私は生きている」

鎮魂歌(レクイエム)

「そうだな、そう名乗ろう。私はレクイエム、彼らに、そしてこの街に、終わりなき詩を捧げる者だ」
 この街に、トリンシックに?
 問い返そうとした時、遥かな頭上から華々しい音楽が響いてきた。
 ドラム、トランペット、その他名前もよく知らない生の演奏の音。
 久々に耳にした、けれど記憶の底に焼きついている旋律。
「素晴らしいな、聖騎士のマーチだ」
 レクイエムはどこか嬉しそうに言う、だが俺は咄嗟に耳を覆って縮こまった。
 いやだ、この旋律はいやだ。
 もう聞きたくない、聞けば思い出してしまう、何度も何度も回想しては一人で蹲った、あの日の、あいつらの背中を見送った、俺の一番の挫折の記憶。
 俺は受からなかった。
 同じように育って同じように遊んだ幼馴染たちのなかで俺一人。
 俺だけは、聖騎士になれなかった。



❖トリンシック・トリビューン 2014年11月15日
 【聖騎士、11月17日からトリンシックに復活】
  トリシック市庁舎は今日、11月17より聖騎士団を新たに結成し、市内に配属することを発表した。
  7年前のミナクス侵攻で壊滅して以来、トリンシックには長らく聖騎士の不在が続いていたが、このたび一年間の厳しい訓練に耐えた聖騎士見習い100名が、正式に聖騎士としての名誉を賜る。
  聖騎士の育成資金問題で批判を受けることも多かったアーサー市長。
  「感無量だ。聖騎士団の復活で、トリンシックの治安と名誉はより向上するだろう」とコメント。
  聖騎士叙任を控えた人物の一人、ジョン=バルフォア氏(21)にもインタビューを行った。
  「聖騎士になるのは子供の頃からの憧れでした! あそこまで訓練が厳しいとは思いませんでしたけど(笑) 何度ケイン教官に尻を蹴飛ばされたかわかりませんよ。でも、ついにこの日が来たと思うと……頑張って良かったと思います、本当に」
  聖騎士たちは16日午前に叙任式を受けた後、トリンシック市内で復活パレードを行う。


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Ultima Online 出雲シャードにて、深夜にダンジョンでBarをしたり、トリンシックで首長をしている人のブログです。

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訓練施設内会議場にて開催

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【トリンシック・ウェディング・セレクション】
2017年6月25日(日)夜10時より
出雲トリゲート真下:特設会場
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